2月15日から2月19日までタイのマヒドン大学で熱帯医学短期研修に参加しました。日本のドクターをはじめとする計25人が参加しました。
たったの4日間でしたが、異なるバックグラウンドを持つ参加者の生き生きとした熱心に学ぼうとする姿には感銘を受けました。普段英語を使わない環境にいるのにも関わらず、英語での授業を消化し自分の意見を英語で伝えられていたのには先生方の能力の高さを感じました。
1日目には顕微鏡と患者の便を用いて、実際にラボでどのように検査が行われているかを体験しました。生理食塩水やヨードを便と混ぜるところから始め、実際に条虫の卵が見えた時には嬉しかったです。それもそのはず、顕微鏡を使い慣れていないものにとってはゴミも寄生虫の卵も全部一緒に見えてしまうし、高倍率でも発見しにくいものもあり教科書の写真通りにはいかなかったからです。
また、顕微鏡を用いてマラリアの種類の同定をするのは一筋縄ではいきませんでした。このような時、疫学を参考にすることや顕微鏡で別のもっとわかりやすい部分を探すことが大事だとわかりました。種によって治療薬等が微妙に異なるので、実際に自分が働いている立場だったら責任は重大だなと思いました。
2日目は病棟に赴き、実際に患者さんの問診、診察を行いました。タイでは現在乾季であり、雨季に比べて熱帯病の患者数が少なかったにも関わらず私たちのためにできる限り調整してくれた病院側には感謝しかありません。リソースも限られているので次の検査に移る前に血液検査などの今あるデータから鑑別を行い検査前確率を上げるように努めていることが重要なポイントでした。
3日目にはデング熱の患者さんへの問診を行いました。突然の高熱が出て、蚊が媒介する感染症と一口に言っても関節痛、全身筋肉痛を呈するチクングニア、結膜炎や胎児に後遺症を残すジカ熱、そして血小板の低下と赤血球の増加、眼窩痛をみせるデング熱では特徴が異なってきます。現地のドクターが経験やデータに基づき的確な診断を下しているのに熟練した技術を感じました。
最終日にはハンセン病の病院を訪問しました。患者は基本病院の周りにあるハンセン病の患者でできた村のようなレプロサリウムから外来で通院しています。またタイのハンセン病のケースは減少していますが、まだまだ数の多い周りの国ミャンマーやラオスからの患者も無料で診察しています。事前の授業でハンセン病について学習していたものの実際に皮膚の白斑や尺骨神経の肥厚、皮膚感覚の低下を見ることができたのはとても貴重な経験でした。レプロサリウムがバンコクから30分ほどのところにあることや患者の寂しげな表情が差別された背景を物語っているように思います。ただし、タイがどれだけハンセン病に向き合ってきたかというポジティブな側面も感じることができました。新しいケースを生まない、早期治療を行うことで不可逆的な神経や皮膚病変を防ぐなどのゴールを立てて努力しているとわかりました。
この研修を通して、ハンガリーで学生生活を送っていては絶対に出会うことのない方々とお話しする機会を得られました。また先生方の知識や経験、物事を見る視点に接せたことは学生として学校で教わるものよりもはるかに感動的でした。
残念ながらハンガリーの教育システムは詰め込み式で、メンターが手取り足取り学生一人一人に向き合ってくれる環境ではありません。どんなに嘆いても、3年後には初期研修がやってきます。今回の研修を通して、将来は国境なき医師団に入りたいと思うようになりました。これからは一歩踏み出して、フランス語の習得とヨーロッパ旅行をしながら残りの学生生活を送りたいと思っています。
最後まで読んでくださってありがとうございました。
ハンセン病の病院から見えた景色。手前に広がるのが患者の居住地域であるレプロサリウム。後ろの橋を渡った先はタイの首都バンコクである。このコントラストが印象的だった。
バンコクの三大寺院の一つであるワット・アルンで。滞在中には仲良くなった先生と観光をする機会もあった。気温は35度、日差しも強い中移動したのはいい思い出だ。
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