はじめまして、Simon です。
最近欧州日本人医師会青年部へ入会しました。こちらへ投稿するのは初めてとなります。
今日は自己紹介をしつつ、僕が現在通っているエストニア・タルトゥ大学、医学部、そして大学病院を紹介させて頂きます。
自己紹介
Simon です。生まれも育ちも沖縄で、高校まで沖縄に住んでいた、生粋の沖縄県民です。高校卒業後、医学の道へ進むことを考えていたのですが、今までの教育が全て英語で行われた関係で、日本国内にある医学部への進学は難しいと言われたので、海外医学部へ留学する事にしました。
そこで色んな国で勉強出来る事を知り、そこから自分に一番合った医学部を探るべくネットサーフィンしていたら今の大学と出会いました。他と比べても学費も抑えられるうえ、大学の評判もそれほど悪くなかったのでこちらへ決めました。
エストニア
皆さんはエストニアはどこにあるかご存知でしょうか。僕の知り合いも大半の方は地理の授業で「バルト三国」を聞いたくらいで実際にどこに位置しているか分からない方も多いので、大学の紹介がてら国の紹介もします。

首都タリンの旧市街!
位置についてですが、ヨーロッパ北東部に位置する小さい国です。北にフィンランド、西にスウェーデン、東にロシア、南にラトビアがあります。バルト三国の中で最も北に位置する国で、首都はタリンという街です。大体の位置は把握できましたか?
高齢の方に「レニングラードの近く」、というと何となく理解される方もいらっしゃいます。なぜなら30数年前まではソビエト連邦の一部で、エストニア共和国としての歴史は実は短いのです。その以前はスウェーデン王国やデンマーク王国の占領下であったりと、独立国としての期間は短いものの、周辺国からの影響や長年渡り続けられたエストニアの文化なども織り交ざる、ユニークな国へと変化しました。
現在はというと、独立後の著しい経済成長と周辺国の支援が功を奏し、中東欧内でもトップレベルに豊かな国へと変化しました。
タルトゥ・タルトゥ大学
そんなエストニアですが、人口は約130万人で周辺国と比べても少ないので、当然大学の数も少ないです。数少ない大学の中で国内唯一の医学部を有するのが僕が通うタルトゥ大学です。首都からバスで二時間半南へ移動したところにある国内第二の都市、タルトゥにあります。医学部以外にも人文学部、社会学部と理工学部の4学部で構成されており、バルト三国でも有数の総合大学の一つです。

タルトゥ旧市街。賑やかな首都と比べると穏やかな街です。
北欧・東欧内にも学園都市はいくつかありますが、タルトゥもその一つです。大学の施設が街の至る所にあり、大学を中心に街が動いていると言っても過言では無いほど大学の存在が大切な街です。決して大きい街ではありませんが、必要最低限は全て揃っている街で、学生として生活する分には困ることが無い街です。

タルトゥ旧市庁舎。近くの公園で撮影。天気がいい日には遊んだり、日向ぼっこしたり、ピクニックもしたりする市民の憩いの場です。
医学部
タルトゥ大学の医学プログラムは大きく2つに分けられます:前半の “Pre-clinicals” と後半の “Clinicals”。前半の Pre-clinicals は基礎医学などを履修するのですが、それらの大半はこの医学部の建物で勉強します。講堂はもちろん、ラボ、解剖室や医学部生専用の小さい図書館もあります(大学図書館の本館とは別に)。

晴れた日に撮った医学部の建物。一見大きく見えますが、L字型です(笑)。
市の中心地から少々離れたところにあるのですが、医学部以外の理系学部も近くにあり、理系キャンパスと化してます。その中でも医学部の建物は古いので、周辺大学施設と比べると少しだけ年季を感じます。とはいっても築約20年なので、とても古い訳では無いです(笑)。
英語プログラムは1学年約24人と少ないのが特徴です。それでもエストニア語プログラムを含んでも約150人なので、元々医学部の規模としては小さい方です。Pre-clinical 期間中は1学年12グループに分かれ(その内英語グループ2)、各グループに10〜12人で構成されています。このグループで2年半基礎医学を勉強します。解剖等の授業では教授一人に学生全員が囲んでも少し余裕があるくらいなので、この点は大規模な医学部と比べると有利だったりします。

真冬の医学部。クリスマスの時期は日の入りが3時半ごろなので、イルミネーションが特に映えます。
大学病院
前半の Pre-clinical を無事終われせると後半の Clinical が始まり、今まで通っていた医学部の建物から徒歩3分に位置するタルトゥ大学病院へ行く事になります。また、今までのグループは解散し、新たに21グループ(その内英語グループ3、各グループに約6〜9人)を学生自ら組みます。
エストニア国内でもトップクラスの規模や技術が集まる近代的な病院が後半お世話になる施設です。また、タルトゥ以外に中規模都市が周りに存在しないため、エストニア南部・東部の広域医療センターとしても機能します。このメインの大学病院以外にも大学の施設はいくつかあり、精神科や呼吸器科の一部が離れていたりと全てが集約されている訳ではありません。
もちろん基本的に全診療科はあります(規模が小さくても)。一般内科・外科は勿論大きく、患者数も多いですが、形成外科などのマイナー科に至っては専門医1人が任せられている状況だったりと、一部診療科は深刻な人手不足を感じます。しかし、大学病院とのこともあり、 Common Disease よりも複雑な症状を持っている患者さんが多く、勉強の観点からは特に困る事はないです。
あと余談ですが、エストニアが旧ソ連国という事もあり、大学病院の医療水準の事を気にする方もいらっしゃいますが、夏休みに日本国内の病院へ実習に行きました際、エストニアが特に劣っていると感じませんでした。むしろタルトゥ大学病院の方が施設などにお金をかけてる印象を受けました(笑)。

残念ながら大学病院の写真が投稿できないので近代的なタルトゥの写真です。気になる方は是非調べて見てみてください!
最後に
少々長くなってしまいましたが、今回はこんなところでしょうか?
ヨーロッパ北東部に位置するエストニア唯一の医学部事情について少し話してみましたが、少しでも面白いと感じてくれれば幸いです!ではまたいつかお会いしましょう。
posted by Simon at 22:00|
エストニア
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