
2022年05月12日
専門医取得後のフェローについて

2022年04月27日
コミュニケーションについて
2022年03月18日
医学生の余暇の過ごし方

2022年02月23日
学外実習
医学部に行ってみようかなと決断してはや6年が経ち、医学部の総括を行える段階に来ました。
進級の問題などが話題になったりしますが、ハンガリーにある4つの医学校で少し特色が異なります。私が在籍した医学校についての総括をしてみると以下のようになります。
• 個人的には基礎医学が非常に充実したカリキュラムが提供される。充実しているが故、一部消化不良になる傾向もあるが、基礎医学の基盤をしっかりと築くことが可能。
• 一方臨床教育は科目によって求められるものが異なり、標準化という点では日本の医学教育との差異が多少ある。実習時間は日本と比べて圧倒的に長い。
• 実習の自由度が高く、様々な外実習プログラムに挑戦できる。
• 他国出身学生との交流は非常に貴重なものとなる。今現在も欧州各国で活躍する友人との意見交換は非常に刺激になる。
今回のブログ記事では学外実習について振り返ってみようと思います。
1). 内科実習その1(Belfast Royal Victoria Hospital, Northern Ireland, UK)
Hepatologyにお世話になりました。肝臓に特化した少し珍しい診療科で、いわゆる内科的なマネージメントから内視鏡による処置まで幅広い診療を見学させて頂きました。肝移植適用例については、King collegeの移植チームとの合同カンファが定期的に開催され活発な議論が行われていました。
2). 外科実習その1(Belfast Royal Victoria Hospital, Northern Ireland, UK)
内科実習の時に消化器外科の先生にアプローチして、その翌年に訪れることが出来ました。ここでは地元医学生が行っていると思われる研修医の先生について病棟管理、救急の外科コンサルのファーストタッチについて実践的に学ばせて頂きました。座学で学べない様々な体験をさせて頂き、一気に臨床医学への学習意欲が湧いた実習でした。
3). 内科実習その2(Nepean Hospital, NSW, Australia)
ここでは呼吸器内科と糖尿病内科(+内分泌内科)で実習させて頂きました。ドイツとUK、オランダからの実習生も来ていて、交流を行いました。印象に残っているのは、ドイツからの実習生が動脈血ガス採血を手慣れた手つきでいともたやすく成功させていたことで、実習のトレーニングもしっかりとやっているのだと感心させられました。ここでも、現地医学生の役割である研修医補佐としてOJT的な実習を行うことが出来ました。
4). 小児科実習(The Children's Hospital at Westmead, NSW, Australia)
小児科病院は現地でも後期研修医からのみトレーニングが可能で、難しい小児症例を主に扱う施設として各州に一つだけ設置されている病院で実習する機会を得ることが出来ました。教科書でしか学ばなかった症例にいくつも出会い、小児科研修コースの魅力も学ぶことが出来ました。
5). 外科実習その2(Addenbrooke's Hospital, Cambridge, UK)
ここでも消化器外科のチームで実習をさせて頂きました。指導医の先生のご厚意で手術見学も積極的にさせて頂き、いくつかの上部消化管手術の術式などを学ぶことが出来ました。また、食道がんの手術結果のAuditをさせていただくプロジェクトも与えて頂き、非常に充実した実習を行うことが出来ました。残念ながら、現在のCovid19の影響でAuditの結果を発表する機会を逃してしまいました。
以上、活発に動くことで様々な実習の機会を得ることが出来るハンガリー医学校での実習経験についてまとめました。
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2022年01月20日
ベルギー医師のフリーランス的働き方
初めてブログを担当させて頂きます、ベルギー医師のMです。
年末年始を日本で過ごす予定でしたが水際対策強化のため帰国をキャンセルしました。
日本に帰れる日が待ち遠しいです。。
簡単に自己紹介させて頂きますと東京の医学部を卒業し、都内の他大学病院にて前期研修修了後、泌尿器科に入局。
入局後すぐに渡白。ベルギーフランス語圏にてequivalentを取得。
ベルギーにて皮膚科研修を終え、現在はブリュッセルで皮膚科専門医として働いています。
今回、日本ではあまり馴染みのないフリーランス的な働き方について書こうと思います。
現在の私の勤務形態は個人事業主、フリーランスといった感じで、
月曜日は大学病院でskin imaging (Reflectance confocal microscopyや Line-field confocal optical coherence tomographyという機械を使って皮膚を切らずに診断する)と女性器の粘膜疾患という専門外来、
火曜木曜はプライベートクリニック(一般皮膚科、美容皮膚科)、
金曜日は関連病院で皮膚癌の手術並びに再建手術をしています。
ベルギーでは日本の前期研修にあたるものがなく、医学部卒業後すぐにspecialization(日本の後期研修)が始まります。
その間は医局所属ですが、専門医になるとその後の就職は基本的に個人の自由です。
皮膚科という科の特性もあり、大学院生として残るケースはあっても大学や関連病院のフルタイムのスタッフ(いわゆる勤務医)として残る人はほとんどいません。
ハーフタイムのスタッフになってプライベートクリニックと兼務するか、もしくは私のように完全にフリーランスとして勤務するケースが多いです。
フリーランスとして働く場合も色々なお給料の計算方法があります。
大学病院や関連病院では日給制や歩合制(ものすごく取られるので、お給料ではなく勉強と恩返しのつもりで勤務しているのが本音)だったりします。
市中病院では有給休暇だけど他の先生と全体の収入をシェアするというところもあります。
プライベートの病院では自分が使う分のテナント代(時間割)を払ってクリニックを使わせてもらうところや、
プライベートクリニックでは歩合制のところが多いです。もちろん自分で開業される方もいます。
医学とは全く関係のない少し生々しいお話でしたが、日本育ちの私には馴染みのない勤務形態だったので紹介させて頂きました。
小さい子供がいるのでゆとりのある働き方ではありますが、フリーランスだからこそ自分の好きなプログラムを組み、毎日違うことができるので、充実した医師生活を送らせて頂いています。
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2021年12月07日
ロックダウン中のオーストリアより
2021年11月15日
Any sugar or milk??
イギリスネタが続きますがお付き合いください。
何を書こうかと迷ったのですが、先月のあきさんの記事を受けて、私も”ミ アーッ ビーッ” =My heart beatの洗礼を受けた身ですし、(医療)英語、イギリス英語について書いてみようかと思いました。
まずは、問診の始めから。
よく、テキストに例としてあがっていたり、実技試験やもちろん臨床の場でも使われるのですが
What brought you here today?日本語で言うと、「どうされましたか?」といった感じでしょうか。
What made you come to the hospital?
私は現在、GP(家庭医)となるためのトレーニングドクターなので、家庭医目線となりますが、先輩の先生方のコンサルテーションを拝見していて、いつか自分のものとして使えるようになりたい、と思っているのが、
What can I do for you today?How can I help you? よりも、なんとなくなのですが、好きです。
ところが、私が患者目線でこの文言を言われた際に、少し戸惑ってしまったこともあるので実は時と場合にもよるのかもしれません。
次は同僚に何かを頼みたい場合。
ガチガチに下手に出て頼み倒す場合はこんな感じでしょうか
Please could you kindly taking some bloods from this patient?やり過ぎると嫌味に聞こえる場合もあるので要注意。
しかしここはイギリス、紳士の国。更にサンドイッチにすることもできます
Sorry to grab you in the break, but please could you kindly calling the family, if you don’t mind?
同僚や上司から、結構上から目線?威圧的な、有無を言わせない形で仕事を頼まれる場合に使われるのが
Would you want to …?よく、これは「丁寧な頼み方」と日本では教えられますけれど、とんでもない。英国社会の病院内において使われた場合には、言われた方に否定権はありません。。
Would you mind…?
Would you mind ordering a xray for this lady? (― no, not at all!)
また、コンサルタントから仕事を頼まれるときは、
Could we…?
が多い気がします。
Could we put out U/E for tomorrow?イギリスは“We”社会、チームという意識があるので、本当によくWeを使います。
We’ve given a 500 mls fluid bolus and started antibiotics for the gentleman in Bay 1.
カジュアルに、ちょっと待ってて!という場合は、
“2 seconds!”
とよく言われます、、、が誰も2秒なんかでは戻ってきません。
同じく、時間にルーズ(?)なイギリスでよく使われるのが“ish”
Shall we meet up at 4 ish?4時くらい – プラスマイナス15分くらいはあるそうですが、段々私も約束時間には遅れがちになってきました。
また、アメリカ英語に慣れ親しんだ私にとって慣れるのにしばし時間のかかったのが、イギリスのスペリングです。
メジャーなところでは
- esophagus → oesophagus (ですのでEGD esophagogastroduodenoscopy ではなく、OGDとなります)
- anemia → anaemia
- center → centre
日本で購入した私のパソコンは未だにアメリカ英語設定なので、British spellingですと全てスペルエラーで赤線が引かれます。。
最後に、私が未だに苦手なフォネティックコードについて。
日本語では通話表、と訳されるそうですが、アルファベットを正しく伝えるための手段として使われます。医療現場では、患者名や患者番号(トラストによっても違いますが、AB1234などの様にアルファベットと数字の組み合わせが多いです)を正しく電話で伝える際に使われます。
特にMやNなど、電話口では区別がしにくいものなのです。
なので、例えば患者番号がMN1234、の場合、”Mother November one two three four”となります。
丁寧な人であれば、M for mother, N for novemberと言ってくださるのですが、最初からフォネティックのみでCharlie Golf triple one and two (CG1112)などと表現されると、言われた表現が脳内で文字に変換されて手が動くのにラグが生じます、、、必ず私もリピートして確認するようにしています。
また、本来フォネティックコードは1種類決まっているものなのですが(wiki等で調べて見てください)、皆が皆きっちり覚えているわけではありません。イギリス人だってど忘れしたりもします。実際、MはMikeのようですが、Motherの方をよく聞きます。M for morphineになることも、、、
面白い使われ方としては、too drowsy or confusedで名前も言えない患者さんの場合、一時的な名前としてフォネティックからとられたものがあてがわれます。なので Mr Alpha Bravoさんがボードに登場したりします。少し、クスッと笑える瞬間でしょうか。(名が分からないほどの状態である、というのは全く面白い状況ではないのですが。)
さて、長くお付き合いありがとうございました。
最近は随分と日が短くなり、日の入りは午後4時過ぎ、気温もぐっと下がり私はウールに湯たんぽが手放せません。
皆様もご自愛ください。
See you later 😊
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2021年10月28日
チェコの医学部とイギリスでの海外ローテ
今回はチェコの医学部の概要と、衝撃を受けたイギリスでの海外ローテについて皆さんにシェアしていきたいと思います。
チェコ医学部
チェコの医学部は、日本同様、六年制プログラムです。
私の通っている大学には、チェコ語のプログラムと英語プログラムがあります。
英語プログラムにはイギリスやドイツ、ノルウェー、スペイン、ポルトガルなどの欧州圏のみならず、日本、韓国、タイ、UAE、イスラエル、アメリカ、カナダなど世界中から生徒が集まります。
プログラム内容は、最初の3年で基礎科学、そして4年次以降は臨床医学を中心に学びます。
- 1−3年で学ぶ解剖学、細胞学、生理、生化、病理、病態生理などの座学科目は、週1で同じ曜日の同じ時間に授業があり、試験も全て期末にあります。
- 4年次以降は、基本的に数週間単位のブロック制病棟実習で、ブロック終了後に各自で試験を受けます。
私の大学では、上記の科目のほかに、ラテン医療用語や4年間のチェコ語などの言語科目も必修です。一般的なチェコ人の英語力は、日本人とほぼ同等レベルなので、病棟での患者さんとの会話は基本チェコ語です。ですので、問診をとれるレベルのチェコ語力を3−4年でつける必要があります。
- 6年次は、既定の時間数の病棟実習を行い、国家試験五科目(内科、外科、小児科、産婦人科、公衆衛生)に合格すると終了となります。さて、日本と大きく違うのは、国試のシステムです。チェコでは、上記5科目を1科目ずつ一年かけて受験して行き、5科目全て合格した時点で卒業となります。国家試験といっても、日本やアメリカのようにstandardized national examというわけではなく、あくまでも大学病院の教員からなるboardによる口頭試験を受けるというものです。試験日の年間スケジュールが年の初めに開示されるので、個人でスケジュールを立て受験して行くと言うスタイルです。
私の所属するチェコ医学部の特徴をまとめると
- 入学試験は簡単だが、最初の2年間で容赦なく篩にかけるので、実質入学後2年間が入試。
- 三年次までのストレート進級率が30%
- 追試を最大4回まで受けられるが1つの試験を一年以内にパスできないと退学となる。
- 座学で相当深くまで基礎科学を学ぶので医学知識はかなりつく。
- 臨床医学、ベッドサイドマナーなどの実地教育が少なく、OSCEなどのスタンダードテストもないためこれらの知識は個人で補う必要がある。
そしてこの輝かしい進級率の低さは、ある界隈では有名なようで、偶然知り合ったフランス人医学生に自分の大学の名前を言ったところ、「知ってるよ!!」というので理由を聞いてみると、「研究が強くて、進級が鬼難しいとこでしょ!」と。まさに図星である。
でも安心してください!全部のチェコの医学部の進級率が低いわけではありませんので!!
イギリスでの海外ローテ
そんな環境で5年間過ごした私は、現在、臨床経験を求めて、大学提携のあるリバプールの病院で3ヶ月間の臨床実習をしています。
人生初渡英だったため、かなりワクワクしていましたが、これがかなりの衝撃の連発でした。語り始めると枚挙に遑がないので抜粋して何個か書いていきたいと思います。
まず1発目はビザです。ブレグジットの影響で今年から交換留学にはビザが必要になりました。このビザの取得がかなり厄介。通常2ヶ月弱のプロセスに4ヶ月弱を費やし、実習開始が1ヶ月以上遅れました。アプライしたのにビザが待てど暮らせど来ないと思ったら、必要書類が途中で変更になっていたり、関連機関への問い合わせ電話・メールの返答が1ヶ月待ちだったりと、かなりストレスフルでした。イギリスビザ申請の予定がある方は、どうぞ時間に余裕をもって行ってください。
2つ目はイギリスとチェコの医学教育の差です。イギリスの医学部は5年制で、まずそこからして大きく違いますが、実際に現場を見て教育のフォーカスが違いすぎて驚きました。
イギリスの学生曰く、3年目以降は病棟実習オンリー。病棟に来たらひたすら問診、プレゼンの練習、機会があれば採血などの手技を学び、OSCEなどの試験に備える。
まさに卒後即戦力で働ける研修医を育てる!!に特化したような教育で驚きました。
実習初日に、イギリス医学部三年生数名と一緒に外来の見学をした際に、「採血をチェコの病院でやったことが無い」と言った途端、
一同 え(◎_◎;) と目をまん丸くして驚いていたのを今でも鮮明に覚えています。
3つ目はリバプール民の人の良さです。これも実際に来るまで知らなかったのですが、リバプールの人はものすごく優しくて、面倒見がいいです。病院のスタッフはもとより、道ですれ違う人ですら笑顔で挨拶してくれて、少しでも困った素振りを見せるとみんな口癖のように”you alright, mate?” と話しかけてきてくれます。
4つ目は訛り、方言です。これが最も衝撃を受けたことですが、リバプール民の、いわゆるScouse accentがあまりに標準英語からかけ離れすぎて、全く理解できない。そもそも、どう頑張っても英語に聞こえないという現象には心底驚かされました。特に患者さんとナースの人にスカウスアクセントが多く、最初の頃は会話をしても何を言っているのか皆目見当もつきませんでした。あまりに致命的だったので、耳を慣らすためにアクセントの強いスタッフや患者さんに片っ端から話しかけて耳を慣らすということをしています。いつか100%理解出るようになると信じて。。。
最後に、どれだけ違うのか、例をいくつか書きます。
Hを発音しない:House = アウス, Who = ウー
Tを発音しない:Lighter = ライ、アー, bottle of water = ボオオブウォアー
MyをMeという: My hand = ミーエンド
他にも、Scran = Food や、Gorra cob on = in bad mood などなどリバプール方言も織り交ぜて喋るので生粋のスカウサーとの会話を成立させるには、かなりの鍛錬が必要そうです。
興味がある方は是非、リバプールに遊びに来てください!!
それでは、寒さも厳しくなってくる頃ですので、皆さま体調にお気をつけください。
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2021年09月12日
イギリスでの初期研修の申請過程
はじめまして!この夏からイギリスで初期研修医になりましたかえです。
今回はイギリスでの二年間の初期研修 (Foundation Programme) の申請過程について、昨年の私の経験をもとに振り返っていこうと思います。
注:申請については毎年細かな変更がありますので、当年の詳細は公式ウェブサイト (https://foundationprogramme.nhs.uk/) をご覧ください。
また、イギリス国外の医学部卒業の場合は手順が異なる場合があります。
イギリスでの初期研修申請は申請者の希望地域と申請者自身の成績をランキング順に組み合わせるマッチングシステムです。
各地域のうちで2年間各4ヶ月、6つのローテーションが一つのパッケージとして選択できます。
まずは地域について:
イングランド、スコットランド、ウェールズ及び北アイルランドを含むイギリス全域を区切った20の区域になります。区域によってはスコットランド全土など非常に広いものもあれば、北西ロンドンといった狭い範囲もあります。
都市圏のほうが競争率の高い傾向にありますが、地方に根ざした医療から得られる経験、手頃な生活費、自然観光資源など様々な観点からあえて都市部から離れた場所を選ぶ人もいます。そういった選択を推奨するFPPという制度もあるので、後ほど触れますね。
次は成績の内訳について:
100点満点で50/50と分かれています。
最初の50点中の43点はEducational Performance Measure (EPM)という在学する大学内での成績によって決まります。算出方法は各大学によって異なります(加えてコロナの影響で、ここ数年は従来の計算方法を調整している大学もあるようです)が、学内での成績を第1等から第10等まで十等分にします。そのうち第1等は43点、第2等は42点、そうして1点ずつ下がっていき第10等は34点という具合です。
残りの7点のうち5点はこれまでの学位に応じた追加点、2点はパブリケーション一つにつき1点、最高2点となります。
100点のうちもう半分の点数はSituational Judgement Test (SJT)という状況判断に関する試験に占められています。12月から1月頃に行われるオンラインの試験です。
以上をまとめると、成績43点+他学位5点+パブリケーション2点+SJT50点で最大点数100点という仕組みになります。
続いては応募できる初期研修医ポストの種類について説明します。
大きく分けて3つ、通常のFP (Foundation Programme)、主に過疎地域の解消を目的として様々な手当や保障が付随するFPP (Foundation Priority Programme)、そして二年の期間中に学術研究期間を盛り込んだAFP (Academic Foundation Programme)があります。
FPPとAFPに関しては応募日程が早まるので注意が必要です。FPPやAFPに応募する場合も、同時にFPにも応募する必要があります。
FPのうちにもう一つ、精神科を重点に置くPFF (Psychiatry Foundation Fellowship)もあるのですが、こちらは精神科学会のRoyal College of Psychiatristsに直接、FPと並行して応募する形になります。
大多数はFPでの応募となるので、以上のFPP、AFP、PFFの三つに関してこちらでの詳しい説明は割愛します。
最後にFP申請の流れについて。
イギリスでの初期研修申請は申請を一括管理するプラットフォームであるOrielに登録することから始まります。
私はイギリス国内の医学部で学んだので、最終学年に進んだ時点で、大学が事前に管理団体であるUKFPO(UK Foundation Programme Organisation)に該当者の情報を報告してくれていました。
(今年は去年より1ヶ月日程が早まっていると風の噂に聞いています。以下は昨年度私が申請した当時の日程です)
10月中旬:大学側から送られてくる登録情報でOrielにサインインする
10月下旬から11月初め:FPの申請。希望地域のランキングもこの時点で必須ですが、これについては2月まで変更可能です
11月中旬:SJT予約
12月中旬及び翌1月中旬:SJT
3月上旬:マッチング結果発表及び成績開示
3月中下旬:地域内での(地域によってはサブグループマッチングを経ての)個々のポストのマッチング
4月上旬:ポストの結果発表
初期研修医となるには他にPrescribing Safety Assessment (PSA)に合格することが必須となります。PSAの時期も大学ごとに異なるようで、私は3月に受けましたが、おおむね12月から5月の間に受けるようです。
以上、私の経験した初期研修申請の過程のまとめでした!
最終学年は卒業試験に加えての申請、更には留学生としてのビザの心配など不安の絶えない一年かと思います。加えてまだコロナの影響も続き行き先不透明な状況が続くなかで、少しでも参考になれば幸いです。

2021年08月07日
イギリス医学部の臨床実習と試験
私はCOVID-19の蔓延がいったん落ち着いていた昨年9月に臨床実習を開始しました。
去年まではあまり病院に出る機会はなかったので、最初は慣れないことばかりでしたが、一年かけてようやく勝手がわかってきたと思います。
今年は特に、感染拡大防止のため少人数グループごとに実習を行っていたり、外来診察や手術が取りやめになったり、対面での手技指導の機会があまりなかったりと例年に比べて実習で学べる時間が限られていたので、与えられた時間を有効活用できるよう努めていました。
もちろん学生の身分で出来ることは限られていましたが、医師や看護師の方が働きやすい環境を作るために裏方の仕事を率先して行いました。
ICUに入る機会はあまりないので、周りのスタッフの方にたくさん助けていただきながら、医療の最前線でチームの一員として働けた経験はとても貴重だったと感じています。
実技試験では、1分間の準備時間の後5分間もしくは10分間のパフォーマンスが評価されます。合計12回このサイクルを繰り返しました。
採血等の手技、問診、救急対応、薬の処方、患者さんとのコミュニケーション等課されるタスクやトピックは多岐にわたるので、時間内にすべてのタスクをこなすためにあらゆる診療科の内容をすらすら言えるように準備しておく必要がありますが、とても難しいと感じています。
筆記試験は選択式問題で、5つの選択肢の中から「最も適している選択肢」を選ぶ形式です。残り4つの選択肢も必ずしも間違っているわけではないので、正確な知識が求められます。
年に一度の試験は精神的にも身体的にもやはり疲れましたが、実際に医師として働くときにこれらの知識、スキルそして体力も必須と思うので、医学生のうちに身に着けたいと思います。
医学部の同級生とお互いに患者役と試験官役を交代しながら問題を出し合って、絆も強くなったと思うので、来年度の実習も頑張ります!