ヨーロッパでは当たり前の家庭医。日本でも少しずつ定着しつつある概念ですが、『実際どういうことをしてるの?』と思う方も多いのではないでしょうか。今月は家庭医の下で研修をしていますので、今日はその内容について簡単に紹介します。
ブルガリア語で家庭医はСемейн Лекар, またはОбщо практикуващ Лекарと言います。ロシア語と同じ文字が使われていて、慣れるまでは読みにくい言語ですが、英語で言うところのGeneral Practitionerに当たります。
ブルガリアの家庭医が働いているのはДигностично Консултативен Център(略ДКЦ)。 英語ではDiagnostic Consultative Centerという訳になります。日本でいう診療所でしょうか。
小規模なものなら家庭医が一人だけの診療所、大規模なものなら複数の家庭医、リハビリ施設なども含むものもあり診療所といっても様々です。診療所には、家庭医の他に毎日日替わりで専門医が訪問診断に来ます。月曜日は婦人科、火曜日は神経科というように、家庭医とは別に専門医も診療所にいることになっています。大規模な診療所であれば複数の専門医がいますので、日本の様にどの科に行けば良いか迷うことはありません。
ブルガリアの家庭医を一言で表現すると『何でも屋さん』でしょうか。というのも家庭医の元に来るのは、お年寄りから、妊婦さん、子供まで幅広い年代です。仕事内容も健康診断から、持病の薬の処方、子供の診察、事故などの緊急時の対応など、幅広い知識と経験が必要な大変な仕事です。そのため、評判の良い先生の診療所の電話は一日中、鳴り止むことがありませんでした。
ブルガリアで、家庭医になるためのプログラムは3年間。その3年間の間に、内科、外科、小児科、産婦人科etc…幅広い知識を身につけなければいけません。それでも詳しい検査が必要なときは、専門医への紹介状を書き、迅速に診断できるよう対応しなければなりません。
ブルガリアの国民健康保険制度はまだまだ課題が多く、予算も北欧などに比べると十分ではありません。一人の家庭医の先生が、紹介状を書けるのは毎月30通までと限られています。そのため、幅広い知識と経験を最大限に活かした、最低限の検査での診察、治療することが求められています。今回の家庭医の先生の下での研修は、その国の地域医療に触れることができ大変貴重な経験ができました。
イギリスやドイツとは違い、ブルガリアには残念ながら日本人の医師はいません。在留邦人の方にとっては不便な場所ですが、かかりつけの家庭医を持つことをお勧めします。まずはお住まいの地区で評判の良い診療所(ДКЦ)を訪ねてみてはいかがでしょうか。
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