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2014年08月05日

ドイツの病院で働き始める前に

皆様、こんにちは。ドイツの医師Sachiです。
前回の話しのハンガリーの卒業式とは全く違い、
うちの大学では卒業式どころかパーティーすらありませんでしたよ。
最終国家試験の実技は順番に行われるので、終わる日にちもバラバラですし、
証書は郵送で(しかも代引き!)送られてきました。


さて、今日の本題。
病院で実習や勤務する時には、
病気に感染したり、事故にあったりする可能性もあるため、
自分の身は自分で守る、という事も必要になります。

ドイツでしたら、まずは開始前に家庭医(Hausarzt)を選びましょう。
勤務の場合は、勤務先の企業嘱託医(Betriebsarzt)が特定の検査をしますが、
家庭医ではその他の予防接種や定期健診をしてもらったり、
病気になったら病欠証明書を出してもらったり、
医師免許の申請の時には健康上問題がない事の証明をしてもらったり。

家庭医が決まったら、まずは予防接種のチェックです。
自分が感染して病気になる心配だけでなく、
自分が媒介して重病の患者さんに感染させてしまうと大変ですから、
きちんと受けておきましょう。

ドイツには予防接種手帳(Impfpass)があり、それを常に携帯します。
↓Robert-Koch-InstitutのStaendige Impfkommission(STIKO)の推薦する予防接種
http://www.rki.de/DE/Content/Kommissionen/STIKO/Empfehlungen/Impfempfehlungen_node.html
これがドイツのガイドラインとなっており、
普通の公的健康保険では、これらは全て全額保険負担で受けられます。

因みに私が今迄に受けたのは:
破傷風、ジフテリア、A型肝炎、B型肝炎、ポリオ、麻疹、おたふく風邪、風疹、インフルエンザ。
日本では成人してからは殆ど予防接種を受けていなかったので、定期的に受け直さなければならないものなど、期限切れが随分ありました。
A型肝炎は本来健康保険ではなく雇用主が費用を負担するべきものだったのですが、「雇用ではなく実習するので」と交渉したら、健康保険が負担してくれました。

また、病院に限らず、ドイツで仕事する場合、仕事による怪我など(Arbeitsunfall)に関しては健康保険ではなく労災保険(Unfallversicherung)の領域になります。
例えば勤務中に転んだり、注射針で自分を刺してしまったり、というケースは勿論のこと、
勤務時間中だけでなく通勤中もカバーします。
(出勤のために自宅の玄関のドアを出た時から、帰宅して家の中に入るまで)
但し、それなりに自分の身を自分で守っていなければ保障されない場合があると聞いています。
例えば踵部分に固定するベルトがついていないスリッパのようなつっかけで転んだり、
前が開いているサンダルのような履き物で、上から何かを落として足を怪我したり、
という場合には、すんなりと保障はされないかも知れません。
事故があった場合、すぐに労災保険の認定医(Durchgangsarzt; D-Arzt)の診察を受けて事故直後の記録を残しておいてもらう事も大切です。
例えば、勤務中に転んだけれど大した事がないと思って放っておいて、何日か経ってやっぱり痛みがひどくなって・・・というような場合、転んだ直後の記録がないと保障が受けられない事もあり得ます。
恥ずかしがって黙っておらず、すぐに同僚や上司に相談し、どこに行って何をしておかなければならないか教えてもらうこと。

また医師という職業は、訴訟と背中合わせです。
投薬ひとつとっても、副作用のない薬はありませんし、
手術や注射でも、治療のためとはいえ体を傷つける行為です。
医者も人間ですから、自分がミスをする事もあり得ますし、
自分に落ち度がなくても病気などの八つ当たりで訴えられる事もあり、
それらは経済的にも大きな負担になりかねません。
そこで、万が一の時のために、
職業賠償責任保険(Berufshaftpflichtversicherung)に自分で入っておく事はとても大切です。

因みにドイツでは、医師は常に人命救助の義務を負っています。
プライベートな時間であっても、命にかかわる怪我人や病人を見過ごしにしたら罪に問われますので、たとえ自分の専門外で自信がなくても、どんなに急いでいる時でも、必ず救助して下さい。
但しそれには「自分の命を危険に晒さない事」という重要な条件がついていますので、これまた注意が必要です。


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posted by JMAE at 07:23| ドイツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする