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2020年08月08日

医者に必要な会話力

皆さま、こんにちは。
ドイツの医師Sachiです。

私はドイツで医学を修めたのですが、入学してつくづく思ったのは、
「ドイツ語が話せる」のレベルが全く違うという事。

ドイツ語を学ぶ環境では、少人数のゼミが中心で、
静かな教室で、先生もゆっくりはっきり話してくれる。
母国語じゃない者同士の集まりだから、
こちらが言葉に詰まっても、誰もが辛抱強く待っていてくれる。

ところが大学に入って、母国語の人に囲まれたら、容赦ない。
階段教室でマイクを使い、わんわんエコーする。周囲の雑音も多い。
ドイツ語でひそひそ話しとか、した事もなかった。
友達とのお喋りでもゼミでも、なかなか口を挟む隙もないし、
言葉に詰まれば他の人にすかさず話題をとられる。
実習が始まれば、脳卒中の後で麻痺している人やら、
入れ歯ではっきり発音できない人もいるし、
そもそも耳が遠くて、こちらの発音が悪ければ、さっぱり解って貰えない。
上手く発音できないのを、大声で何度も繰り返させられる、バツの悪さと言ったら。

患者さんには「ゆっくり・はっきり」だけれど、同僚には真逆のトレーニングが必要。
個人の意見を大切にする文化なので、
議論で自分の主張ができなければ、何も始まらない。
医者も医学生も、同業者に対しては機関銃のようにまくしたてる人が多くて、
電話でやり合えるようになるまで、随分かかった。

これは会話とは関係ないけれど、
患者さんが分厚い病歴ファイルを持って来たら、
さーっと目を通して大事な情報を拾えなければいけないし、
勤務先によっては、何ページにもわたる詳細な報告書も書けなければならない。
語彙だって、医学用語を覚えなければいけないのは当然として、
「凹レンズ」とか「ショウジョウバエ」とか、そんなレベルからのスタートでした。

これはドイツ語特有なのだけれど、
例えば3桁の数字なら、百の位→一の位→十の位の順に、
分数なら、分子→分母の順に読む。
だから、私は今でもドイツ語での暗算が苦手だし、
当直で寝ぼけている時に電話で数値を言われても、すっと頭に入らない。

そもそも、ドイツは発言を大切にする文化で、口約束でも法的に有効となる。
極端な例では、
役所での結婚式でも、サインする前に婚姻の意志を問われ、
「はい」と言った段階で既に婚姻が成立し、書類には婚姻後の姓でサインする。
未だに古臭い書類社会でもあるのだけれど、
発言というのはまた別の重きがあるので、軽んじる訳にはいかないのです。

こちらに来てもう20年で、流石に困らなくなってきていたのだけれど、
コロナでマスクをするようになって、ちょっと後退。

という感じです。

医者というのは、信用第一。説得力がいる。
なので、語学力はとっても大事です!
でも、語学なんて、やれば誰にでもできるので、皆さん頑張って下さい。




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posted by JMAE at 18:54| ドイツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする