皆さま、こんにちは。
ドイツの医師Sachiです。

私はドイツで医学を修めたのですが、入学してつくづく思ったのは、
「ドイツ語が話せる」のレベルが全く違うという事。
ドイツ語を学ぶ環境では、少人数のゼミが中心で、
静かな教室で、先生もゆっくりはっきり話してくれる。
母国語じゃない者同士の集まりだから、
こちらが言葉に詰まっても、誰もが辛抱強く待っていてくれる。
ところが大学に入って、母国語の人に囲まれたら、容赦ない。
階段教室でマイクを使い、わんわんエコーする。周囲の雑音も多い。
ドイツ語でひそひそ話しとか、した事もなかった。
友達とのお喋りでもゼミでも、なかなか口を挟む隙もないし、
言葉に詰まれば他の人にすかさず話題をとられる。
実習が始まれば、脳卒中の後で麻痺している人やら、
入れ歯ではっきり発音できない人もいるし、
そもそも耳が遠くて、こちらの発音が悪ければ、さっぱり解って貰えない。
上手く発音できないのを、大声で何度も繰り返させられる、バツの悪さと言ったら。
患者さんには「ゆっくり・はっきり」だけれど、同僚には真逆のトレーニングが必要。
個人の意見を大切にする文化なので、
議論で自分の主張ができなければ、何も始まらない。
医者も医学生も、同業者に対しては機関銃のようにまくしたてる人が多くて、電話でやり合えるようになるまで、随分かかった。
これは会話とは関係ないけれど、
患者さんが分厚い病歴ファイルを持って来たら、
さーっと目を通して大事な情報を拾えなければいけないし、
勤務先によっては、何ページにもわたる詳細な報告書も書けなければならない。
語彙だって、医学用語を覚えなければいけないのは当然として、
「凹レンズ」とか「ショウジョウバエ」とか、そんなレベルからのスタートでした。
これはドイツ語特有なのだけれど、
例えば3桁の数字なら、百の位→一の位→十の位の順に、
分数なら、分子→分母の順に読む。
だから、私は今でもドイツ語での暗算が苦手だし、
当直で寝ぼけている時に電話で数値を言われても、すっと頭に入らない。そもそも、ドイツは発言を大切にする文化で、口約束でも法的に有効となる。
極端な例では、
役所での結婚式でも、サインする前に婚姻の意志を問われ、
「はい」と言った段階で既に婚姻が成立し、書類には婚姻後の姓でサインする。
未だに古臭い書類社会でもあるのだけれど、
発言というのはまた別の重きがあるので、軽んじる訳にはいかないのです。
こちらに来てもう20年で、流石に困らなくなってきていたのだけれど、
コロナでマスクをするようになって、ちょっと後退。
という感じです。
医者というのは、信用第一。説得力がいる。
なので、語学力はとっても大事です!
でも、語学なんて、やれば誰にでもできるので、皆さん頑張って下さい。

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